今回のこの「おやこ音楽会」は、俺が幼稚園のお母さん方と一緒に企画したもの。幼稚園側には「そんな名前も知らない人たちに任せて大丈夫?」的に若干渋りがちな感じもあったんですが、お母さん方が本当に一所懸命やってくれて、こんな素晴らしい音楽会を催してくれたんです。で、その企画の話し合いの中で、ひとつお願いされていたことがあった。「子供たちのための時間が終わった後に、少しでいいから“お母さんたちのため”に演奏してくれないか」、と。で、テニスっさんたちは、子供たちの第一部の後一休みして、その後子供のいないところで(まぁ、幼稚園以下のちびっ子たちはいたけれど)演奏をしてくれた。で、もちろん聞き手は今まで一度もテニスコーツなんて聞いたことがないお母さん方ばかり。でも、皆さんじっと聞き入ってくれて、中には涙を流してる人もいたりした。終演後も「すごくよかったです!」と嬉しそうにテニスっさんに声をかけてくれたり、素敵な空気が流れてた。で、そんな会話の中でポツリとあるお母さんが言った。
「今、普段音楽なんてまったく楽しむことができなくて、だからこそ10分でも15分でもいいから、ゆっくりと音楽を聴きたかったんです」と。「音楽とか聞きたくて、もう子供無視して、ヘッドフォンして聞いたりもするんだけど、耳元で“お・か・あ・さ・ん!”って叫ばれて、もういいやってなるのよ!」と。
このサイトを見ていただいている方は、たぶん音楽を浴びるように聞いていたり、かなりマニアックに楽しんでおられる方が多いと思います。もちろん、そんなことを書いている自分もわりとそういうタイプの人間だと思う。 でも、ですね、意外に思われるかもしれませんが、この自分でさえも子供が生まれて以降、「音楽を家でゆっくりと楽しむ」なんてことは、子供も家族も寝静まったほんと深夜の一瞬くらいのもの、それも皆が起きてこないように小さな音で。で、「こんな思いで聞くんだったら、明日店でゆっくり聞こう」になっちゃう。で、自分ですらそんな状態だったりすることを考えたら、24時間子供と向き合ってるお母ちゃんたちは、本当に音楽を「楽しむ」なんてことができないのも当たり前の話だと思うんです。「子供がいても、好きな音楽かけたらいいやん!」って思う人もいるかもしれないけれど、ホントーーーーにそれは難しいことなんですよ。いや、どうなのかなぁ。もっと多くの人に聞いた方がいいのかもしれないけれど、それを仕事にしていない限り、なかなかに難しい。
でもね、そういう生活をしているからって、音楽なんて必要ない、っていうわけじゃない。逆に、子供に日々向き合ってるような生活だからこそ、音楽を聴いたり映画を観たり、ゆっくり本を読んだり、少しだけでも外でコーヒーを飲んだり、そんな「子供がいない生活」の中では当たり前にできちゃうことで、特に「文化」の匂いがすることにとても憧れたりするんです。だから、「ライヴを見に行く」なんてぇことは、もう夢また夢の出来事。だから、今回、「15分でもいいから楽しませてください!」って言ってくれたんだと思うんです。